教材について
新型コロナウィルス感染症の蔓延により、子どもたちの学習環境は大幅に変わりオンライン授業や家庭学習の機会が増えています。 私たちは、平成17年度「子どもゆめ基金」教材開発・普及活動をきっかけに、障がい児のための教材を多く開発してきましたが、コロナ禍で利用件数が約10倍の60万件ヒット数となり、お問い合わせも急激に増えました。また、利用範囲も多様化しており、学校を始め、塾や地域のサポートセンター、保護者や海外からもアクセス数が増えています。
その中で、保護者の方からのお問い合わせに「漢字の基礎を身に付けさせたいが、どうすれば良いかわからない。」「漢字を教えても同じところでつまずく。」などが寄せられています。漢字学習におけるつまずきは子ども一人ひとりが異なり、その支援方法も多様です。
漢字の習得には、「書字の運動記憶、形の視覚記憶、読みの記憶、聴覚記憶、語いの獲得、注意、実行機能、コミュニケーション機能、人の理解、興味のバランス」などの認知機能が関連していると言われています。
また、認知機能の獲得には、社会の中で日常の発達経過が影響しそれを受けて基礎学力である「聞く・話す・読む・書く」に促進され、このような循環ループが漢字習得の特徴であると考えられています。(北大路書房『LD児の漢字学習とその支援』より)
そこで、本教材は、個々の子どもの認知の偏りに応じた支援でそれぞれの生活活動の場で促進できるよう配慮した教材を開発しました。また、LD児のスクリーニング尺度により学習困難な要素を分析し、子どもの得意な力に働きかけるプログラム構成にしました。
学習障がいの認知の特徴に基づく類型を、聴覚性、視覚性、注意記憶性の3つの困難に分け「読み・形・絵・音」を捉えることで傾向を把握する手がかりとしました。
具体的な教材内容は、「形の習得」を①マッチング方法。「絵で学習」は②読みと合う絵を探す方法。③漢字と合う絵を探す方法。「読みの学習」は④読みを一文字ずつ探す方法。⑤読みを考えて、声に出して読む方法。「書きの学習」は⑥読みから漢字を探す方法と、⑦聞いて、読みを見て書く方法。7つの支援方法で構成されています。
指導は順番に行うことでつまずきを明確にし、一人ひとりの子どもの特性にあったプログラム(ステップ)を見つけることができます。「読む・書く」を中心としたものですが、「聞く・話す 」は生活場面を想定した絵カードでゲームを楽しみながら学ぶこともできます。
漢字は、小学1年~6年で習う漢字約2,000字(音訓読み別)と、生活によく使われる単語約700語を用意しました。
学習プログラムと、マルティメディア特性を利用した子どもが身近に感じる教材で、保護者(指導者)と子どもたちが楽しみながら利用できる支援プログラムをご活用ください。
生活の中で使う漢字は、学年を超えて利用されており難しい単語が溢れています。駅の名前がわからないと行き方を間違えたり、注意事項が読めず危険に晒されることにつながります。
生活でよく使われる生活単語を低学年、中学年、高学年別に、教科書で習う漢字を学年別に音・訓読みを合わせて収集し約3,000字が学習できるようにデータベース化しました。
また、漢字習得の手がかりとして、読みの音(声)、語彙の絵(イラスト)、漢字を使った短文を辞書を作るように制作しました。
教材を開発する際に私たちが目指したものは、今を生きる子どもたちの視点です。
子どもが身近に感じるものや好きなもの、わかりやすいものに置き換えることでイメージができ記憶の定着に繋がると考えました。教科書だけでは表現しきれない状況や気持ち、事象などを現代に置き換え、できるだけシンプルに表現するようにしました。また、ステレオタイプを強調せず、できる限り人権にも配慮した表現になるよう努めています。
短文も日常で使われる言葉や表現を使うようにしましたので、教科「国語」でつまずきがある子どもたちにも、違ったアプローチで学びをサポートします。
漢字が覚えられず苦手意識の強い子どもたちが、少しでも楽しみながら漢字習得ができることを目指しています。
特別支援教育デザイン研究会は、平成17年度「子どもゆめ基金」(独立行政法人国立青少年教育振興機構)の教材開発・普及活動に参加するため結成されました。
平成19年4月学校教育基本法に特別支援教育が組み込まれ、子どもひとり一人の教育的ニーズに適応した教育を行うことが義務づけられました。そうした中で、指導者となる教職員や保護者、地域のボランティアの支援を目的とし、様々な専門家の連携による教材開発と普及に取り組んでいます。
会長・代表 | 前迫 孝憲 | 大阪大学名誉教授 |
実行委員長 | 伊原 和夫 | e-Kokoro協議会(先進的教育情報環境整備推進協議会)理事長 |
監査 | 富永 直也 | NPOくりえぃてぃぶキッズ理事長/元京都教育大学准教授/元立命館大学教職支援センター主任 |
会計 | 李 哲 | 学校法人日本工商学院理事長 |
委員 | 小池 敏英 | 尚絅学院大学教育部門特任教授/元東京学芸大学名誉教授 |
委員 | 森川 治 | 東京電機大学デザイン工学科非常勤講師/元山口大学医学部教授 |
委員 | 河崎 哲嗣 | 岐阜大学教育学部数学教育講座准教授 |
委員 | 奥野 武俊 | 大阪府立大学名誉教授 |
委員 | 田中 誠太 | 前八尾市長 |
委員 | 中村 幸平 | 一般財団法人日本教育支援機構理事 |
委員 | 石橋 正敏 | 泉南市議会議員 |
委員 | 成山 治彦 | 立命館中学校・高等学校校長/元大阪教育大学理事 |
委員 | 川尻 昭良 | NPO法人みち理事/元八尾市立教育サポート所長 |
委員 | 木下 栄子 | 元八幡市立さくら小学校内通級教室「ことばの教室」教諭 |
委員 | 関口 佳美 | 元京都府スーパーサポートセンター視覚支援担当 |
委員 | 平島 和雄 | 京都教育大学附属京都小中学校教諭 |
委員 | 堀川 紘子 | 京都市立藤城小学校教諭 |
委員 | 上田 達郎 | 日本CA株式会社アカウントエグゼクティブ |
委員 | 笹田 将平 | 一般財団法人日本教育支援機構 |
大阪大学大学院 人間科学研究科
京都教育大学大学院 連合教職実践研究科
京都府八幡市教育委員会
尚絅学院大学教育部
国際ビジネスデザイン専門学校
株式会社イングラムジャパン
デジタル教材の運営管理:特別支援教育デザイン研究会
サーバ協力:e-Kokoro協議会
プログラムを終了して、トップへ戻りますか?
トップへ戻ると、選んだ漢字の履歴がなくなります。
キャンセル